何でも屋と偽りのお姫様~真実の愛を教えて~
「何を隠れているんだ。
お前の体は隅々まで知っている。今さら隠すことはない」



デリカシーがない言葉。
女心が分からない男というのはまさに拓哉さんみたいな人の事を言うのだろう。
しっかりと布団を被りながら震えていればいきなり布団が剥がされた。



「……」



あまりにも突然で言葉すら出せない私。
そんな私を見下ろしながら拓哉さんは不敵な笑みを零した。
恐ろしいくらい不気味で妖艶な笑み。
この笑顔の意味を知っている私は顔を引き攣らせながら固まる他なかった。



「俺の物だという印を見ながら……昨日の余韻にでも浸っていたか?」

「ち……違いま……」

「そんな事をしなくても……何度だって抱いてやる。
そのつもりで……迎えに来たんだがな」



そう言って無理やり私を立たせると強く抱きしめてくる拓哉さん。
彼の下半身が私の体に当たる。
タオル越しでも分かるくらい主張しているモノ。


反射的に私の顔が熱くなっていく。
そんな私を見ながら、またもや妖艶な笑みを浮かべる彼。
そして私の腰を引き硬くなったものを私に押し付けてくる。



「拓哉さ……」

「分かるだろう……?
お前の事を欲しているのが」

「っ……」



答えられずにいれば私の体は宙へと浮かぶ。



「風呂場でたっぷりと愛してやる」



その声はどこまでも妖艶で私は彼の腕の中で顔を紅らめる事しか出来なかった。
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