何でも屋と偽りのお姫様~真実の愛を教えて~
初めての依頼
ある日の土曜日



会社は休みだし家でのんびりしようと思っていた私に悪魔のメールが届く。



“今すぐ何でも屋へ来い”


短くて自分勝手な文章に私は苦笑いをする。
自然に送り主である遥斗の顔が頭に浮かんだ。



「こっちの都合も考えてよね」



偶々……暇だったからいいけど。


“偶々”を強調させながら出掛ける準備をする。


社長である拓哉さんは土曜日にもかかわらず仕事に行っている。
珍しくはないが、今日こそ彼が仕事で良かったと感謝した日はない。


もし、休みだったら私はどうしていたのだろうか。
遥斗に言ったところで“じゃあ、来なくていいぜ”とはならないと思う。
むしろ面白がられたに違いない。



「……急がないと……遥斗に怒られる!!」



私は早足で部屋をを出る。
でも、そこで会いたくない人に会ってしまった。



「梓沙ちゃん、休みの日なのに一体どこに行くの?」

「お……お義兄さん……」



部屋の前で背の高い男の人に腕を掴まれてしまう。


柊 和哉(ひいらぎ かずや)。
拓哉さんの8歳上のお兄さんだ。


拓哉さんとは正反対な明るい性格。


でも、その明るさに裏があるような気がするのはきっと私だけ。
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