男の秘密
「羽奈、この後うちに寄って行かない?」

買い物も済み、日も暮れかけてきた頃優がそう言った。

「あぁ、優の手料理食べたいけど、夕食の約束してるのよね」

とても残念そうに羽奈が言う。

「そうなの?久しぶりだし、ゆっくり家飲みが出来ると思ったんだけど。」

羽奈のお陰で、本当に良い買い物が出来た。

お礼も兼ねて家来て貰いたかったのだが、羽奈には先約があるらしい。

「約束断ろうかしら」

そう言ってカバンからスマホを取り出した羽奈に優が慌てる。

「何言ってるの。私の事は気にしないで楽しんで来て。 あ、そうそう」

そう良いながら今度は優がカバンから何かを取り出した。

「豆乳かりんとうと、マーマレードクッキーを焼いたの。忘れるところだったわ」

可愛くラッピングされたお菓子を羽奈に手渡す。

「これ!美味しかったのよね。ありがとう」

「羽奈用に甘さ控えめだからね」

「ええ。優のお菓子は、甘いものが苦手な私でも食べられるから好きよ」

羽奈は甘いものが苦手だが、それでも甘さ控えめのクッキー等を、たまに食べるのは好きだ。

ただし、自分の口に合う控えめな甘さの菓子が殆ど無くて、こうやって優に作って貰っている。

付き合いが長い所為か、自分が食べたいと思った頃、優がこうして作って来てくれる。

『凄い能力よね』

優に見えないようにフフフと笑った。
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