男の秘密
慌しく毎日が過ぎ、気付けば木曜日。

「今日忍さんと会う日だ」

カレンダーを見ながらそう呟く優の顔は、緊張で強張っていた。

鏡の前で服装のチェックをして、その後持ち物チェック・・・。

何度も確認しているうちに、ドンドン時間が経っていく。

『やだ!遅刻しちゃう』

慌てて家を飛び出すし駅に向かう。

マンションの一階で誰かとぶつかる。

「すみません!」

「いえ、俺もちゃんと見てなかったから」

落ち着いた低めの心地よい声が頭上から聞こえたが、謝る為に下を向いていた優には顔が見えなかった。

顔を上げた時はすれ違っていて顔は見えなかったが、背は高かった。

『マンションの住人かしら』

一瞬そんな事を考えたが、遅刻しそうだった事を思い出し、走り出した。



何とか一本遅い電車に飛び乗る事が出来た優は、入り口付近で呼吸を整えていた。

『社会人になって、全力で走る日が来るなんて思ってなかったなぁ』

折角整えた髪も化粧もかなり崩れてしまった。

朝から気分は落ち込んでいる。
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