男の秘密
定時に終わる予定だったが、やはり急ぎの用事が入りずれ込んだ。

19時の待ち合わせは自宅だから間に合う筈だ。

自宅付近まで来ると、家の前に黒い車が停まっていた。

『マンションに用事かしら。ちょっと怖いわ』

黒い車はセダンタイプの国産車だったが、濃いスモークが貼ってあり、車内が見えなかった。

優は足早に車の横を通り抜けようとした。

優が真横に差し掛かった時、助手席の窓が開いた。

「優」

聞き覚えのある声に驚いて、車を見る。

運転席側には、忍の姿があった。

「忍さん?!ビックリしました」

「ごめん。早く着き過ぎた」

「いえ、車にビックリして・・・」

苦笑する忍に優も苦笑した。

「車にビックリして?」

優に聞こえない位小さな声で鸚鵡返しに声に出す。

フルスモークの黒塗りのセダンという事に思い当たる。

「怖がらせたみたいだね」

「少し・・」

「一度家に戻る?」

「え、と。出来ればちょっと時間を頂けますか?」

「分かった。ここで待ってるよ」

忍の言葉を聞き、急いで部屋に戻る。
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