カフェ・ブレイク
……やっぱり細い……でも、意外とよろけたりはせず、しっかりとホールドされていた。
「ほら。楽勝。……夏子さん、戸ぉ開けて。」
しれっと竹原くんはそう言った。
「……強引。」
やばい。
ドキドキしてきた。
……中学生でも、ちゃんと男なんだ、って……意識してしまった。
もしかして、やっぱり、ここまでついてこさせたのって、まずかったんじゃないかしら。
無理矢理、押し倒されたらどうしよう。
でも竹原くんは、部屋に入ると、リビングの真ん中に私をそっとおろしてくれた。
「へえ!広いやん。うん、いい部屋。……あ~、でも、ほんまや。窓もベランダも完全にふさがれてるわ。……ごめんな。」
お姫様抱っこの興奮冷めやらず、足元がふらついた私は、よくわからないまま床に座り込んだ。
竹原くんが謝った意味もろくに考えられなかった。
クスッと竹原くんが笑った。
「荷物運び入れるし、そのまま座っとき。」
「……ありがとう。」
私がぽーっとしてる間に、竹原くんは荷物をすべて運んでくれた。
「大丈夫?買い物行くんやったら付き合うで?」
「買い物は、土日にまとめてする予定。実家に車を預けてきたから……あ!忘れてた~~~。駐車場、明日中に探さなきゃ。」
「駐車場って、この辺、タイムズしか残ってへんで?月極めは全部押さえられて。」
え?
「困る!……って、何でそんなことまで知ってるの?竹原くん、近くに住んでるの?」
まさかのご近所さん?
「いや、家は嵐山。」
ふぅん?観光地?
「父親の会社が、隣。」
そうなの?
「お父さん、いい会社にお勤めなのね。吸収合併でどんどんおっきくなってるんでしょ?」
私がそう言うと、竹原くんは顔をしかめた。
「いや、俺の父が起業して経営してんの。典型的な成金ワンマン社長で、やり口が強引やから……日照権侵害も駐車場独占も、ごめん、って。」
……それは……すごい……
隣は普通の規模の会社じゃない。
飛躍的に利益を伸ばして、現在は、たぶん西日本屈指の大企業のはず。
「このマンションが建った時には、お隣はお公家さんの寝殿造りのお屋敷だったから、日当たりも環境も良かったって……」
不動産屋さんが言ってた話を思い出した。
「まあ、それはマンション側の勝手な主張やな。その元お公家さんは俺ん家(ち)の主筋に当たるから、ちっちゃい時から何べんもお邪魔してたけど、逆に、このマンションが建ったせいで、日が当たらんくなって庭の木が枯れたし、景観も何もあったもんやなくなったしなあ。池の水も濁ってしもて、鯉も死んだし。」
……主筋?
封建社会の関係が今も息づいてるの?
こわ~~~。
でも、そういうご縁で、竹原くんのお父上はこんな御所に面したところにわざわざ本社を置いたんだ。
「お父様、やり手ねえ。」
ベランダから見える石造りの立派な建物を眺めながら言った。
「……怖い人や。」
竹原くんは睨むように石の壁を見て言った。
父子で葛藤があるのかな。
思春期だもんね。
「ほら。楽勝。……夏子さん、戸ぉ開けて。」
しれっと竹原くんはそう言った。
「……強引。」
やばい。
ドキドキしてきた。
……中学生でも、ちゃんと男なんだ、って……意識してしまった。
もしかして、やっぱり、ここまでついてこさせたのって、まずかったんじゃないかしら。
無理矢理、押し倒されたらどうしよう。
でも竹原くんは、部屋に入ると、リビングの真ん中に私をそっとおろしてくれた。
「へえ!広いやん。うん、いい部屋。……あ~、でも、ほんまや。窓もベランダも完全にふさがれてるわ。……ごめんな。」
お姫様抱っこの興奮冷めやらず、足元がふらついた私は、よくわからないまま床に座り込んだ。
竹原くんが謝った意味もろくに考えられなかった。
クスッと竹原くんが笑った。
「荷物運び入れるし、そのまま座っとき。」
「……ありがとう。」
私がぽーっとしてる間に、竹原くんは荷物をすべて運んでくれた。
「大丈夫?買い物行くんやったら付き合うで?」
「買い物は、土日にまとめてする予定。実家に車を預けてきたから……あ!忘れてた~~~。駐車場、明日中に探さなきゃ。」
「駐車場って、この辺、タイムズしか残ってへんで?月極めは全部押さえられて。」
え?
「困る!……って、何でそんなことまで知ってるの?竹原くん、近くに住んでるの?」
まさかのご近所さん?
「いや、家は嵐山。」
ふぅん?観光地?
「父親の会社が、隣。」
そうなの?
「お父さん、いい会社にお勤めなのね。吸収合併でどんどんおっきくなってるんでしょ?」
私がそう言うと、竹原くんは顔をしかめた。
「いや、俺の父が起業して経営してんの。典型的な成金ワンマン社長で、やり口が強引やから……日照権侵害も駐車場独占も、ごめん、って。」
……それは……すごい……
隣は普通の規模の会社じゃない。
飛躍的に利益を伸ばして、現在は、たぶん西日本屈指の大企業のはず。
「このマンションが建った時には、お隣はお公家さんの寝殿造りのお屋敷だったから、日当たりも環境も良かったって……」
不動産屋さんが言ってた話を思い出した。
「まあ、それはマンション側の勝手な主張やな。その元お公家さんは俺ん家(ち)の主筋に当たるから、ちっちゃい時から何べんもお邪魔してたけど、逆に、このマンションが建ったせいで、日が当たらんくなって庭の木が枯れたし、景観も何もあったもんやなくなったしなあ。池の水も濁ってしもて、鯉も死んだし。」
……主筋?
封建社会の関係が今も息づいてるの?
こわ~~~。
でも、そういうご縁で、竹原くんのお父上はこんな御所に面したところにわざわざ本社を置いたんだ。
「お父様、やり手ねえ。」
ベランダから見える石造りの立派な建物を眺めながら言った。
「……怖い人や。」
竹原くんは睨むように石の壁を見て言った。
父子で葛藤があるのかな。
思春期だもんね。