恋より先に愛を知る
11月の悪夢






車を走らせて8時間。


目が覚めると、どこかの駐車場に
車は止まっていて、私は車内に一人だった。


どこに行ったんだろう。


お父さんを待っていると、
しばらくしてコンビニの袋を下げて戻ってきた。


朝ごはんを食べて薬を飲むと、
お父さんはすぐに眠ってしまった。


何もすることがなくて、
私はなんとなくツイッターを開く。


久しぶりに見るのは、
みんなの楽しそうなつぶやきと、
そうではないつぶやき。



ふと、彼のことが気になって個人のページに飛ぶと、
胸がズキズキと痛みだした。







もう私のことなんて忘れてしまったかのような素振り。







新しく、好きな女の子がいるような書き込み。







音楽を第一に生きると言っていた彼なのに、
なんだかだらしのない書き込み。









複雑で、哀しくて。



ここまで来た私ってバカみたい。



急にそう思った。



もしかしたらお父さんの言った通り、
迷惑なのかもしれない。



そう考え始めると、時計が数字を
カウントしていく様を見るのが怖くなった。


どうしよう。どうしよう・・・。






―イライラすんだよね―





―戻る気はないから―






―好きになることもない―







マイナスなことばかり思いだされる。



でもそれと同じように、
優しかった彼の声が浮かんでくるの。



どうしてだろう。


彼との距離が少しでも近いんだって思うと、
もうそれだけで懐かしくて。



目に涙が浮かぶのを必死に堪えて、
私はただじっと、時間が来るのを待った。




その手の中にぎゅっと、リングを握りしめて。




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