鈍感ちゃんと意地悪くんの短編集
瀬田、たこ、ちぅ。
瀬田、抱っこ、ちゅぅ。
瀬田、抱きしめてキスして。

うん、美空はそんな夢を見ているに違いない。
目の前に本人がいてそれはすぐ叶うのに、夢でみてどうするんだ。

「えぇ? 起こすのかよ、瀬田」

休み時間まだあるのに……。
寝かせておいてあげなよ、と言う高橋の言葉は無視だ。

「美空、起きろ」

「ん……?」

「抱っことちゅう。されたかったのか」

「……え?」

俺は美空を膝の上に乗せて、抱きしめた。
そして、キスをした。

「おい瀬田、俺目の前にいるんだけど……!」

「うるさいな、だから見るなって言ったのに」

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