恋色シンフォニー
ああ。もう。
すごく……

キスしたい。

たぶん、考えていることは同じで。

どちらからともなく、
唇を重ねた。

好き。
好きだよ。
気持ちが伝わってきて、心が震えるような、優しいキスだった。
泣きたくなるほど、幸せな気分が心を満たしていく。

いつものような、いやらしいキスではなく、唇を重ねるだけの、禁欲的な、くちづけ。

角度を変えながら、上唇、下唇……お互いの唇の感触を確かめあう。
ただ、舌は触れずに。

どのくらいそうしていただろう。

ふいに三神くんが身体を離した。

真っ赤になって目をそらしている。

「ごめん、限界。これ以上はやばい。ごはん食べよ。このまま押し倒したいけど、夏だし楽器弾いて汗かいてるから、お風呂入るまで我慢する」

わざわざ言わなくてもいいのに、とおかしくなる。

私は笑いながら、立ち上がった。
驚くほど、身体が軽くなってた。


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