恋色シンフォニー


9月に入ったある日。

出勤すると、隣の席の渚ちゃんが、チラシ片手におずおずときいてきた。

「綾乃さん、このチラシの三神圭太郎って、三神さんのことですよね?」

圭太郎のオケの定演のチラシ。
あらまあ。

「本人にきいてみたら?」

「……わかりました」

ホントに聞きに行っちゃったよ。
まあ、まだ出勤してる人は少ないし。

苦笑しながら話を聞いている圭太郎。

渚ちゃんが興奮した面持ちで戻ってきた。

「玲子さんと聴きに行きますね!」
「曲、全部聴いたことある?」
「ないです……」
「よかったらCD貸すよ。どんな曲か知ってから行った方がいいと思う」
「ぜひ! お願いします!」

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