恋色シンフォニー
「話し声は音階に聞こえないのに、綾乃の喘ぎ声が、音階に聞こえることがあって。楽器弾いてるみたいだなーって思ってた」
「……音楽バカ……」
早瀬さん。やっぱりこいつは音楽バカですっ!
「……言われると思った。
でも、ヴァイオリンのフォルムは女の人の形っていうのは、有名な話でしょ。ヴァイオリニストの端くれとしては、彼女の体も弾いてみたいっていうか」
「圭太郎、練習疲れで、頭おかしくなってない?」
「……なってるかな……。だって、ソリストとコンマス両方やるのって、何倍も疲れるんだよ。頭も身体も……」
圭太郎の愚痴も珍しい。
「だから、今度は綾乃がして?」
やば。甘えた顔と声にきゅんとした。
こんなおねだりもうれしいと思ってしまうんだから、私、やっぱり圭太郎にベタ惚れなんだろうか。