恋色シンフォニー



隣で眠る彼女の髪をなでながら、僕は涙を流す。

これからは弱いところも見せていこうと思うけど、眠る前にこうして幸せをかみしめながら泣いているのは、絶対に秘密にしたい。


大事な人を喪うのは、とても怖いから、人を愛することには臆病になってた。

あれは一目惚れだったんだ、恋は落ちるものなんだと気づいたのは、どうしようもなく彼女を好きになってからのこと。

迷った末、僕は覚悟を決めた。

傷ついてもいい。
例えこの先どうなろうとも、僕の全てをかけて彼女を愛したいと思った。


それは思っていたよりずっと幸福で。

彼女が僕を愛してくれることも、とんでもなく幸福で。

正直、今までに、親が亡くなっていなかったら、と思うことはたまにあった。
でも、彼女と出会えて、僕の人生はこれなんだと思えた。
これ以外にありえないと。

だからね、綾乃。

僕は、感謝と、ありったけの愛を込めて、君のために弾くよ。



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