恋色シンフォニー

席に着き、プログラムの団員一覧を見る。

『ヴァイオリン独奏・コンサートマスター 三神圭太郎』

何だかくすぐったい気持ちになる。
ふと、前回の定演の時を思い出した。
あの時はびっくりしたなぁ。
まだ圭太郎のこと、何とも思っていなかった。
半年でこうなるとは……。

ソリストプロフィール、何て書いてるんだろう。
ワクワクしながらパンフレットをめくると。

顔写真無しで、シンプルに、
いくつかのコンクールの優勝歴。
3年前からこのオケのコンマスを務めていること。

そして。

『設楽華子・設楽龍之介の両名に師事』

とある。
華子さんというのが、設楽さんのお母様なんだろう。


席を外していた設楽さんが戻ってきた。
「やー、すごい人。立ち見まで出るかもって」
「……設楽さんにいていただいて、よかったです」
私ひとりでは、受け止めきれません。
「あらま。うれしいこと言ってくれるね」


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