恋色シンフォニー

ーーー心臓がわしづかみにされる。

ああ、やっぱりかっこいい。
弾き方も、音色も、フレージングも、
圭太郎のヴァイオリン、やっぱり大好きだ。

生演奏ならではの迫力。
皮膚で感じる音の波動。

鳥肌がたち、涙がにじむ。

……でも。
……ちょっと待って。
……何これ。

楽譜の指示は、
アレグロ・モルト・アパッショナート。
速く・非常に情熱的に。

ソロヴァイオリンが、指示通りに、“非常に情熱的に”メロディを歌っていく。

それが、
ものすごく恥ずかしいんですが、

圭太郎の愛をひしひし感じる、というか。

正直に言ってしまうと、
……圭太郎に抱かれてるみたい。

まさか、音楽を聴いてこんな感覚になるとは思わなかった……。
嘘でしょ……。


トゥッティになり、ソロが休みになってはじめて、目も耳も圭太郎しか入ってきていなかったことに気づいた。
チャイコの時と同じ。

落ち着いて、自分。
早瀬さんもちゃんと見よう。オケもちゃんと聴こう。

やっぱりトゥッティの奏でる第一主題は迫力があって鳥肌モノだよね。
早瀬さんかっこいい。
コンミスもかっこいい。