恋色シンフォニー
DVD鑑賞会が始まった。
チャイコフスキー作曲 ヴァイオリン協奏曲 ニ長調。
チャイコらしい、ロマンチックなメロディあり、郷愁を誘うメロディあり、大盛り上がりの部分あり、の人気曲。
ステージに、ソリストと指揮者が出てきた。
拍手が起こる。
今より少し若い、三神くん。
堂々たる、ソリストのオーラだ。
和やかにコンミスと握手。
(コンサートマスターは今回女性なので、コンサートミストレス、略してコンミス)
そして、オケのメンバーをぐるっと見回し、指揮者とコンミスの間、ソリストの位置につき、客席に向かってお辞儀をする。
拍手がやむと、一転、空気がピンと張り詰めた。
三神くんは、若い男性指揮者に向かって、準備OKというようにうなづく。
指揮者がタクトを構える。
そして、
演奏が始まった。
オケの長い序奏。
弦の音程が揃っていて、なかなかうまい。
弱いピアノから、フォルテシモへ盛り上がり……
ヴァイオリンソロが入る……
来た‼︎
低い音から、高い音へと駆け上がり、踊りながら降りてくる。
研ぎ澄まされた音に、全身が総毛立った。
そして、有名な第一主題を切々と歌い上げていく。
鳥肌が止まらない。
じわ、と涙がにじんだ。