さくら、ひらひら。

そんな彼を一瞬見遣り、気付かれないように、微かに目を細める。
間を置かず、すぐに視線を梓へ向けると朗らかな丸い笑顔。
その笑顔は、初めて見たあのときと変わらない温度で、私の心までまぁるくなるみたいだ。

「ハイ!ハイ!!お腹すいた!」

丸い笑顔から飛び出す、元気な声。
その声に誘われるように、私も元気な声をだす。

「そだね。ファミレスよって帰ろう!頭使ったからお腹すいたよ~!今日くらい、良いよね?!」
「うんうん、たまには休息も必要だよね!」

3年生2学期の中間考査期間。
今日はテスト最終日で午前中で終わり。
あははっと笑いながらかばんに筆記具をしまい込む。
周りもいそいそと、帰る支度を始めている。
早い人はすでにもういない。
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