さくら、ひらひら。
「か、香澄先輩の、こと、好きだったんでしょ?」

海斗は意表を突かれたように目を丸くしている。

「なんで?」
「女の、勘はなめちゃダメ」

ははっと笑う。
そこには肯定も否定もない。
ねぇ、否定の言葉がほしいのに。
今付き合っている私は、ねぇ、何?

「……っ、だから、先輩のとこに、」

行っていいよ、って言う、私の嘘っぱちの声は、風に溶けた。
気がつけば、きつくきつく、抱き締められていた。

「先輩のことは、好きだったよ。それは否定しない。過去の自分のことだからね」

その言葉に胸がツキツキ痛みだす。
本人の口から聞くのが、こんなに痛いものだなんて。
かつて小泉くんから聞いたのとはまた違う。
何でこんなに苦しいんだろう?



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