恋の指導は業務のあとに


誰と誰が話しているのかわからない。

会話が途切れて聞こえる。

体がゆらゆら揺れて、冷たい風が頬に当たっている気がする。

頬と髪が撫でられている感じもする。


私は今何処にいるの?

誰と、いるの?


体がゆらゆら揺れ続ける感覚は、ふんわりとしたものに包まれて収まった。

ここは、どこ?


「ったく、しょうがねえな。おい、起きてるか?あまり男に隙を見せるな。俺だけにしておけ・・・返事」


耳元で囁くような声がして、くすぐったくて首をすくめた。


「・・・はい・・・ん」


指が絡められて、唇に柔らかいものが触れている気がする。

ぬるっとしたものが口中に入ってきて、私の舌を何度も優しく撫でている。

その弄ばれている感覚がとても気持ちよくて、もっとしてほしいと願ってしまう。

柔らかなそれが離れてしまい、薄く開いた目に人影が映った。

目を凝らして見ても、視界がぐるぐるまわる上に薄暗くて、誰だか分からない。


「もう寝ろ」


真っ黒な顔が近づいてきて、額に柔らかなものが触れた。

そして髪を撫でて消えていく。


今のは何?

これは、夢・・・?

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