婚約者はホスト!?④~守りたいもの~(番外編あり)
「ご主人は、恐らく頭部を強打したショックから記憶喪失になっていると考えられます…。」
診察室で、主治医の先生がそう説明した。
「でも 高校時代からの友人のことは分かるみたいなんですけど…。」
そう 浩太さんのことは覚えているみたいだった。
でも 大学が一緒だった美優も、会社の後輩であるゆずちゃんの事も、さっぱり分からないようで…。
そして 私の事も忘れてしまった…。
「きっと 高校時代までの記憶ならあるのでしょう。その後の10年分の記憶を失っているんだと思います。」
「そんな…。あの 先生 記憶はいつ戻るんでしょうか…?」
私は、思わず先生の腕にしがみついた。
「えっと そうですね… それは、私にも分かりません。一時的なものですぐに戻る可能性もありますが、一年、二年とかかる場合も…。このまま一生戻らないことだってありますし。」
「一生…戻らない…。」
私は肩を落としながら診察室を出た。
あまりのショックに言葉も出ない。
まさか こんなことになってしまうなんて…。
一緒に作り上げてきた私との思い出さえも、圭司の中から全て消えてしまったなんて…。
もし このまま 圭司の記憶が戻らなかったらどうしょう…。
お願い 圭司
早く 私を思い出して…。
私は涙をこらえながら、病室へと歩き出した。