それだけが、たったひとつの願い
 愛する人とキスをすると、幸せな気持ちになるのだと初めて知った。
 だけどひとつになった今は、もっと幸せだ。

 胸は締め付けるようにドキドキして壊れてしまいそうになるのに、温かい気持ちでいっぱいになる。
 ジンは甘い声を上げる私をやさしく抱いた。

 どうせ逃れられないのなら、この波にいっそ溺れてしまおう。

 あのスキャンダル記事は本当なのか、そんな真偽はもうたしかめなくてもいい。
 そう思えるほど、今の彼の純粋な気持ちを信じたかった。


 私が単なる石ならば、彼は夜空で一番輝く星だ。

 その星に手を伸ばしてみたら、今なら届くかもしれない。

 誰もが惹かれる彼の“特別な光”に、私も魅せられてしまった。


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