政略結婚に隠された真実
あの後、私はホントぼぉっとしてたんだろう。
美味しいと叫んだ料理を食べても、他の運ばれてきた料理を食べても味を感じなかったし。

そして、お店を出たことも覚えてなくて、いつの間にか、夜景が目の前に広がった。

夜が街中を暗い海と化している中で、街の光が無数のきらめく星のようにキラキラと輝き、愛梨の心を虜にした。
都心の煌びやかな夜景に愛梨のテンションは上がっていった。

「わぁぁ~ッ!すっごくキレイッ!!こんなきれいな夜景、初めて~!!」

さっきまで妙な思考の波にのまれていた愛梨だが、大翔の右腕にしがみついた。

わ~わ~こんな夜景見たことない!!
ほんとステキすぎる!!

元気な愛梨を見て、ほっと安心した大翔は頭をポンポンした。
「また来る?」
「うん!来たいッ!また見たい!!」
大翔に思いっきり抱きつき、満面な嬉しい顔をして答えた。
が、その直後、青ざめた。わッ私”また来たい”って言っちゃった!!

「・・・って、来ない!さっきの間違い!碓氷さんとは来ないから!!」
「うん、また来ようね、愛梨。」
とろける様な笑顔で見つめられた。

ドキンッ!
そんな大翔の顔を見た愛梨は、心臓が跳ねた。
ドキドキして顔が赤くなっていくのが自分でも分かったから、とっさに俯いた。

大翔は、顔を赤くした愛梨に気付いたのか、くすくすと笑い、愛梨の髪を一房掴み、するりと梳いた。
そして、すっと愛梨の腕を手が滑り、手を繋いだ。

愛梨はドキッとした。女の子とは違うゴツゴツとした大きな手。
大翔の暖かさが手から伝わってくる。
なんだかすごくあったかい気分になった。

ぱっと大翔にのぞきこまれ、思わず背をそらしてしまった。
それに気付いた大翔は口角を上げて、イタズラっぽく言った。
「残念だけど、愛梨。どんなに愛梨がこの結婚をしたくなくても、止めれないんだよ?」
「・・・」
「だから、これから先、ずっと僕がここに連れてきてあげるよ」
「・・・」
にっこりとほほ笑んだ。

うっわ~ほんとイケメンだ~!!
ふわっと笑う大翔は本当にカッコイイ。イケメンだ。
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