政略結婚に隠された真実
8 沈んだり浮いたり
私の婚約者になってると言う事は、私がそれなりのお嬢様と言う事は知ってると思う。
同じくらいの会社の御曹司なんだろうこの人に、内心で馬鹿にされてるんじゃないかと思う。

こういう場面になって初めて思った。

あ~~~私、なんか平凡すぎるお嬢様だ~~~おバカ丸出しとか恥ずかしすぎる・・・
たぶん、マナーとかの行儀作法?的なもの?は全然大丈夫だと思うのよ、小さい時から両親と志保さんに叩き込まれたもの。

お給料もらってるからと、居酒屋とかカフェとか行き過ぎたのかしら…。
お嬢様らしいことなんて…拒否してきたし。
こういうことろでツケが回ってくるのね・・・。

この人には平凡感覚過ぎる私はやっぱり合わないわ。
どこぞのお嬢様が似合ってるんだわ。

無意識に愛梨は大翔の隣に立つことを想像し、グルグルと自己嫌悪に陥っていた。



大翔は、全然しゃべらなくて、さっきまで明るかった表情も曇って行ってる愛梨を見て、どうしたのかと思い、話しかけてみた。

「愛梨、大丈夫?気分悪くなった?」
「・・・・・・」

無言の返事が返ってきた。
ふぅ・・・。愛梨は何を考えているんだか。
眉を垂らし、困ったような顔をして愛梨を見つめた。


大翔は愛梨が黙りこくってしまったのを心配した。

無理矢理連れ出した愛梨が少しずつ口を聞いてくれるようになった。
今日一日はずっとムッツリ怒っていんだろうと思っていたら、楽しい時は楽しい、嬉しい時は嬉しい、何か考えてるのかな?と思ったら、怒ったり笑ったりとくるくると変わる表情。

話しかけたら無言でも表情で返してくる。
たまには返事も返してくれるようになった。
海では、友だち宣言まで出てきて会話も増えた。

それが突然のだんまり。そして、"俺"の声が聞こえないくらい。
明るかった顔の表情も曇り、一切の笑顔も出なくなった。
料理が口に合わなかったわけじゃないみたいだし、何がきっかけだった・・・?


今もボーっとしてるが箸は進んでる。
顔は沈んだままだ。
どうやって、沈んだ気分を上げてあげようか・・・


大翔はディナーを食べながらいろいろ考えた。
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