エリートな先輩の愛情を独り占め!?
私は、先輩に謝らせるためにあんなことを言ったわけじゃない。そう言いたかったけど、それを言ったら私は先輩になにかを期待をしていたことになる。
現に私は今、謝られて少しショックを受けている。バカだな、私をどうしたいか、なんて、そんなこと聞かれても困るに決まってるのに。
「……先輩、私こそ」
「……ごめん、もう限界だ」
「え、八谷せんぱ……」
ぐっと握っていた手を引かれて、私は八谷先輩の胸に倒れこんだ。それから、ぎゅっと背中に強く手を回されて、抱きしめられた。
八谷先輩の匂いと体温がとても近くに感じられて、心拍数が一気に上昇した。
どうして? 八谷先輩、どうしてこんなに私を甘やかしてしまうのですか。
「俺は、自分の立場が憎いよ。お前の彼氏に怒鳴ってやることもできないし、今は部署が違うからお前が桜庭にいびられててもなにもフォローできない。どんなにお前のことを大切に思っても、後輩として大切に思ってるとしか、言えない……それなのに、こうしてお前に触れて、お前を不安定にさせてる自分の汚さが憎い……っ」
「……なんで、八谷先輩が自分を責めるんですか……、私だって、今こうして先輩に抱きしめられたまま、抵抗しないでいます。八谷先輩の彼女に悪いって気持ちも、今この瞬間消えたんです。私だって、同じくらい汚いですっ……一緒です」
――どうしてかな。ついこの前までただランチを一緒に食べるだけの関係だったのに。
一緒にランチを食べて、仕事の悩みを聞いてもらって、たまに先輩の愚痴も聞いて、一緒に笑って一緒に怒って、そこにはいつも美味しいご飯があって、先輩と会うと、お腹も心も幸せでいっぱいになって。
……あれ、私、彼氏といる時より、笑顔が多いな。八谷先輩との思い出を思い出すと、必ず私は笑ってる。
なんで今頃気づいたんだろう。気づきたくなかった。彼氏に浮気されたタイミングで気づいたら、どれだけ調子いい女なんだ。
現に私は今、謝られて少しショックを受けている。バカだな、私をどうしたいか、なんて、そんなこと聞かれても困るに決まってるのに。
「……先輩、私こそ」
「……ごめん、もう限界だ」
「え、八谷せんぱ……」
ぐっと握っていた手を引かれて、私は八谷先輩の胸に倒れこんだ。それから、ぎゅっと背中に強く手を回されて、抱きしめられた。
八谷先輩の匂いと体温がとても近くに感じられて、心拍数が一気に上昇した。
どうして? 八谷先輩、どうしてこんなに私を甘やかしてしまうのですか。
「俺は、自分の立場が憎いよ。お前の彼氏に怒鳴ってやることもできないし、今は部署が違うからお前が桜庭にいびられててもなにもフォローできない。どんなにお前のことを大切に思っても、後輩として大切に思ってるとしか、言えない……それなのに、こうしてお前に触れて、お前を不安定にさせてる自分の汚さが憎い……っ」
「……なんで、八谷先輩が自分を責めるんですか……、私だって、今こうして先輩に抱きしめられたまま、抵抗しないでいます。八谷先輩の彼女に悪いって気持ちも、今この瞬間消えたんです。私だって、同じくらい汚いですっ……一緒です」
――どうしてかな。ついこの前までただランチを一緒に食べるだけの関係だったのに。
一緒にランチを食べて、仕事の悩みを聞いてもらって、たまに先輩の愚痴も聞いて、一緒に笑って一緒に怒って、そこにはいつも美味しいご飯があって、先輩と会うと、お腹も心も幸せでいっぱいになって。
……あれ、私、彼氏といる時より、笑顔が多いな。八谷先輩との思い出を思い出すと、必ず私は笑ってる。
なんで今頃気づいたんだろう。気づきたくなかった。彼氏に浮気されたタイミングで気づいたら、どれだけ調子いい女なんだ。