エリートな先輩の愛情を独り占め!?
なんて、自分勝手な告白だろう。八谷先輩には彼女がいるのに、私はなんて諦めの悪い女なんだろう。
八谷先輩のマフラーに額を埋めながら、私は恐る恐る八谷先輩の背中に腕を回した。すると、その手をぐっと引き寄せられた。
「……知佳とは、別れたよ。罪悪感は愛じゃない、一緒にいて本当はずっと辛かったって言われた」
八谷先輩の声は、私以上に震えていた。
「泣いている知佳を見て、俺はこの子を幸せにできなかったんだなって思うと、すごく落ち込んで泣けてきた。仕事ばっかりで、俺は知佳になにも与えてやれなかった……っ」
「そんなことないです、八谷先輩が彼女のためにしていたこと、私はずっと隣で見てました……っ」
「だからもう、暫く誰とも付き合わずにいようって決めた。もう正直疲れ切ってた。……でも、ダメだった、タマの顔を見た瞬間、そんな疲れも吹っ飛ぶくらい、愛しいと思ってしまったっ……今」
……やっと、八谷先輩のハッキリとした思いが聞けた。疲れ切ったこの人を、心底癒してあげたいと思った。
八谷先輩、私は、あなたが想像する以上にあなたのことが好きなんですよ。そのエネルギー全部を使って、あなたのことを癒してあげたい。それなのに、愛を伝える言葉はちっとも出てきやしないから、私は腕の力を強めることしかできない。
「八谷先輩……、お願いです。一回だけでいいんで、名前で呼んでくださいっ……」
震えた声で懇願すると、八谷先輩は私の耳元に唇を寄せた。
「……理乃、好きだよ」
……こんな日が来るなんて思わなかった。もしかしたらもう二度と八谷先輩とご飯を食べることはできないかもしれないと思っていた。今腕の中にいる確かな存在に安堵しながら、タイミングを掴みに行くのは自分次第なんだと、そう、思えた。
「なん度でも言うけど、俺はずっと、後輩としても女性としても、理乃が可愛くて仕方なかったよ」