秘め恋シンデレラ~隠れ御曹司と甘く蕩けるKISS~
「スキだったけど・・・自分の可愛さには勝てなかった。俺だって色々と思い悩むコトがあるですよ。永遠さん」


「柾貴?」

切なげに訴える柾貴さんに永遠さんは何を察し、何も言わなくなった。


「この店です」


柾貴さんの予約した店は最近オープンしたダイニングバー。

私と永遠さんは並んで腰を下ろし、永遠さんの目の前に柾貴さんが腰を下ろした。


ドリンクとメニューをオーダーした。

私はソフトドリンク、二人は生ビールでカンパイし、一息ついたところで柾貴さんが開口した。


「緑川のコトって何ですか?」


「あ・・・6月に妹の愛と夫である緑川の父親の奈都也さんが結婚式を挙げるんだ。彼にはその・・・結婚式に緑川家の人間として出席して貰いたいと言うか・・・」


「簡単に言うけど・・・緑川と父親の間には家元である祖父が絡んで来るんですよ。父親は緑川家とはワケありで絶縁状態」


緑川家は560年続く華道の家元らしい。

今は緑川さんの祖父が家元となり、次期後継者は孫である緑川さんが継ぐコトになっている。




< 195 / 230 >

この作品をシェア

pagetop