秘め恋シンデレラ~隠れ御曹司と甘く蕩けるKISS~
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「今夜が峠だって言わなかった?お兄ちゃん」

「こうでも言わなきゃ、香音お前は茨城帰って来なかっただろ?」

「それはそうかもしれないけど・・・」

会社を早退して、慌てて実家にへと帰った。

お爺ちゃんは唯のギックリ腰で命には別条ない。
自宅の寝室で布団を敷き、うつ伏せに寝込んでいた。


「なぁ?爺ちゃん」

今年の正月も大学時代の友達とグァムで年越しをした。
里帰りするのは1年半振りだった。

里に帰れば、農作業の手伝いそしてお爺ちゃんとお兄ちゃんの説教付き。
それがウザくて今年はワザと帰らなかった。

「・・・誰のおかげで大学を卒業できたと思っているんだ?香音。このわしと晃弘のおかげだろ?
お前は本当に薄情なオンナだ。感謝がない」
爺ちゃんは御年78歳。
今も現役バリバリに白菜栽培に従事し、お兄ちゃんと共に畑を切り盛りしている。

腰は痛いけど、声にはいつもと変わらない張りがあった。
お爺ちゃんの元気な声を訊いて、安堵する。


「二人には感謝しています。でも、テレ臭くて口にはしないだけです」


「かのちゃんも一段とあか抜けたね。どこのお嬢さんかと思ったわ」

お婆ちゃん襖を開けて、お茶を持って来てくれた。


「お婆ちゃんは元気?」


「腰は曲がってるけど…口は動くよ」

お婆ちゃんが来てくれたおかげで場の雰囲気も一気に和んだ。







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