ライ・ラック・ラブ

それをきっかけに、私は小原さんと二人だけで出かけるようになった。
平日、大体週に2度くらいの割合で、晩ごはんを食べにレストランへ行くのが主だったけれど、そのうち小原さんの休日である、土曜日か日曜日にも会うようになった。
出かける頻度が多くなるのに比例して、話し方もカジュアルな感じになり、自然な流れで「小原さん」から「正(ただし)さん」と、名前で呼ぶようになった。

正さんと一緒に過ごすひと時は、とても楽しかった。
ボランティア活動や生け花の時間、家族や友だち、そして一人で過ごす時間も楽しいけれど、それよりも、正さんと一緒に過ごすひと時は、もっと楽しい。
いつもあっという間に別れの時間が来てしまうような気がするし、正さんと離れたくない、もっと一緒にいたいという気持ちが、会うたびに募っていく。

正さんと過ごすひと時は、私にとって、いつの間にか特別な時間となり、私にとって正さんは、特別大切な男性になっていた。

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