ライ・ラック・ラブ
…この瞬間・瞬間が、とても幸せ。
という気持ちが内から湧き起こってきた私は、笑顔でありながら、目からは嬉し涙が流れていた。

そんな私に、正さんは「キレイだ」と言ってくれた。
その時の彼は真面目な顔をして、少し潤んだ黒い瞳には、切なさと、気遣いと、好きだという想いが込められているような気がした。

そこに、シャンパンを持ったウェイターがやって来て、恭しく、且つ流れるような仕草で、私たちにシャンパンを注いでくれた。
プチプチと泡立つそれは、ピンク色をしている。

「こちらは当店からのお祝いでございます。加納様、小原様。改めまして、ご婚約、おめでとうございます」
「まあ。どうもありがとう」
「ありがとう」

ウェイター(後でレストランのマネージャーだと聞いた)にお礼を言った私たちは、顔を見合わせてニッコリ微笑むと、「乾杯!」と言って、グラスを合わせた。

その時飲んだピンクシャンパンの味は、特別美味しく感じた。

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