ライ・ラック・ラブ
「男にはな、女を養う義務がある。そして私は父親として、おまえやおまえの妹たちが、生涯暮らしに困らないよう、十分なたくわえを残しておく必要があるんだ。結婚生活というのはな、そういうものなんだよ」
「じゃあ…お父様は、お母様のことを愛してはいなかったの」
「もちろん愛していたさ。だが、“愛し合っている”だけでは結婚生活は成り立たない。それが現実だ。赤の他人が一つ屋根の下で一緒に家庭を築くということは、時にどちらかが妥協しなければならないことも発生する。我慢しなければならない時だって当然ある。暮らしていくために金だって必要だ。綺麗事だけで済むものじゃないんだよ」
「それは……分かってます」

< 60 / 87 >

この作品をシェア

pagetop