ねぇ、好き?
「なぁー、弥生ー。いつになったら、俺と付き合ってくれんだよ」


飲みに行った帰り道。

酔っ払いながら、そんな事を言う男。

佐々木 航平(ささき こうへい) 25歳。

同じ会社に勤める同期。

いつもふざけている佐々木。

だけど、本当は、人一倍周りに気遣いが出来る、優しい人。


「……って、アンタ、今、彼女いるでしょうが」


「何バカな事を言ってるの」と佐々木の言葉に呆れながら、適当にあしらう私。

須賀 弥生(すが やよい) 25歳。

飲みに行った帰りは、いつも佐々木にそんな事を言われる。

そう……

毎回、お酒の入っている状態で。

それは、佐々木に彼女がいない時はもちろん、彼女がいる時にも。

そして、私に彼氏がいたとしても関係なく、飲みに行った帰り道にいつもそんな事を言われている。

だから私は、“酔っ払いの冗談”としか思っていないし、本気になんてしていない。


私は佐々木の事を同期としか思っていない。


はずなのに……


何でだろう……

佐々木の事を気にしている私がいる。


私、佐々木の事を好きになっちゃったのかな?

だけど、佐々木のあの言葉は冗談。

だって、お酒を飲んだ時にしか、

「付き合おう」

なんて言われないから。


それに……

私、佐々木に一度も“好き”だなんて、言われた事がないから――…


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