カリスマ社長に求婚されました
彼にもそれを突っ込まれて、言葉を失ってしまう。

この人の優しさに心は一瞬温まったけど、和也のことを思い出すとやっぱり涙が溢れてくる。

こんな場所で泣いたって仕方ないと分かっているのに、どうしても止められなかった。

「す、すみません……」

指で何度も涙を拭いながら、この人に申し訳なくなってくる。

見ず知らずの人に、どこまで迷惑をかけたらいいんだろう。

すると彼は、私の腕を軽く掴んだ。

「えっ?」

驚いた私は、彼を見上げた。

「これから、パーティーに行く途中だったんだ。よかったら一緒に行かないか?」

「パ、パーティーにですか? それは、さすがに……。だいたい、部外者の私が行くわけにはいかないです」

どうみてもパーティーに行く格好ではないし、どういう人の集まりで、なにが目的なのかも分からない。

それに、いくら優しそうとはいえ、この人のことは全然知らないのだし、ホイホイついていくわけにはいかなかった。
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