カリスマ社長に求婚されました
「優一? お前なんでここにいるんだ⁉︎」

肩を掴まれている蓮士さんは、目を開いて肩越しに優一さんを見ている。

息を切らした優一さんは、眉間のしわを深くして、蓮士さんを睨んでいた。

「優一さん⁉︎」

とっくに帰ったと思っていただけに、嬉しくて気が緩んでいきそうだ。

「蓮士、オレは人を殴ったことがないんだ。だから、加減が分からない」

怖いくらい冷静に、そして低い声でそう言うと、力強く握り拳を作っている。

まさか、優一さんに限って本当に殴るはずはないだろうけど、ちょっと心配だ。

すると、蓮士さんは最初の驚いた様子から、いつものクールな表情に戻った。

「暴力行為でイメージダウンは優一の方だ」

蓮士さんは手のひらで、優一さんの拳を受け止めている。

ふたりの姿にハラハラしながら、なにもできない自分が情けない。

口を挟むのも阻まれる雰囲気が、優一さんたちからは出ていた。

「茉奈を守るためなら、そんなことはどうでもいい」

「へえ。そこまでお前がのめり込むくらいだもんな。優一より早く、茉奈ちゃんに出会いたかったな」
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