カリスマ社長に求婚されました
翌日、夢が覚めた思いで、お互い出社の準備をした。

あらかじめ着替えを持参してきたから、直接会社には行くことができる。

あんなに最初は、イブに休みを取ることに罪悪感があったのに、終わってしまうと寂しく思ってしまった。

「優一さん、この指輪は外しておいた方がいいよね?」

豪華客船に名残惜しさを感じながら、優一さんの車に乗り込んだ。

「いや、そのままでいいよ。茉奈とのことは、婚約者としてきちんとみんなに報告したいから。いいだろ?」

「もちろんよ。だけど、まだ優一さんのご両親にもお会いしていないし、こんな忙しいときだし……」

いつ報告するつもりなのか分からないけど、こんな素敵な指輪をつけていたら、すぐに事情を聞かれてしまうに違いない。

そのときは、どう言ったらいいんだろう。

「茉奈のご両親にも、挨拶に行きたいと思ってる。ただ、会社のみんなには、茉奈からオーケーをもらったと伝えなくてはいけなくて」

と苦笑いをした優一さんの理由が分からず、私はキョトンとするだけだった。
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