好きって言っちゃえ
そこには、はにかんでうつむき気味に微笑む白無垢の新婦を優しく見つめる羽織袴姿の新郎の何気ない姿が大きく写し出されていた。
「まぁっ!いいわね〜っ!」
息を飲んで見つめていた緊張の瞬間に、誰よりも先に声を出したのは悦子だった。
「自分の時の事思い出すわ〜」
「え?そこ?」
舞が小さな声で突っ込んだが、他の面々は聞かなかったことにして、話を進める。
「この自然な表情いいな。これ誰撮ったんだ?」
と、剣二。
「俺っす、俺っす」
と、嬉しそうに右手を上げたのは航だった。
「あ〜、やっぱり西尾か」
剣二は納得といった表情で頷いた。西尾は元々写真館に勤めていて、剣二が即戦力として期待している人材だった。
「この写真を最初に持ってきたのは、平野の判断?」
剣二は後ろに立っている光俊を見上げてそう尋ねた。
「あ、はい。そうです。…まずかったすか?」
剣二からの視線に不安になって、光俊は眉間に皺を寄せて引き気味に尋ね返した。