性悪女子のツミとバツ
性悪女子の更生日記 

もう少しだけ


誰に何と思われても、どうでもいいと思っていた。


記憶にある母の姿は、いつも忙しそうに出かけていく背中で。
パリッとした皺のないスーツの生地を掴みかけては、手を引っ込めていた幼い日の私は。
置いてけぼりにされた玄関で、いつも一人思っていた。


お母さんみたいな大人には、
なりたくない。

頑張って働き続ける人生なんて、
まっぴらごめんだ。


だから、大学を卒業した後、就職した会社でも、仕事は精一杯手を抜いた。
周りから呆れられて、白い目で見られても、別に平気だった。
どうせ一生働き続ける気などない。
いい男を捕まえるまで、適当にやりすごして、お給料をもらうだけ。
早く楽な部署へ異動させてくれと毎日思っていた。

そんな私の教育係の先輩は、不幸なことに女の人だった。
毎日、男の人に負けないくらい、懸命に仕事をこなし、泣き言など死んでも言わないだろう彼女が、若き日の母の姿と重なった。
散々困らせて、迷惑を掛けて、心の中で何度も馬鹿にした。

女がそんなに一生懸命働いても、いいことなんてないのに。
頑張っちゃって、馬鹿みたい。



今、思えば。
本当に馬鹿だったのは、この私で。

あの日。
“彼”に手をのばした事こそが。
私の罪だったのかもしれない。
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