夜闇に咲く

差し迫る闇

「そこのお人。」

……

こんな夜に何してんだろ……逢引……?



「おまん、おまんじゃ」

……


「誰の事言ってんだよ返事してあげろよ
るっさいなぁ……(小声」



「おまんのことじゃ!!!」




「うおぁっ!!!!!」

ドサッ




急に蹴ったのか切ったのか知らないけどすんごい振動が来て僕は木の上から転げ落ちた




「い、だ……」



背中をもろに打ち付けてしまった

なんてことだ、受け身を取り損ねるなんてそんな僕に話してるとか思わないじゃん?






「ったいなぁまったく、おっさん誰だよ!おっさん!」





大事なことは二回言わないと。おっさん



「誰がおっさんじゃ!」

「……」



指さしてあげたわかりやすいでしょ


目の前に立つ男はまぁ、おっさんではないけどちょっと腹が立ったので日和は構わずおっさんと言い続けた




「……おま」
「それで用件は?人を木の上から落としてまでのようなんでしょ……?」


初対面でそこまでされる覚えはない、と
恨みがましい視線をおくる







……んー、でもなんか見たことある


目の前の男はむっ、として袖に手を突っ込み、体を斜めにしてこちらを見つめたそして少し眉をひそめながら口を開いた


「……わしを誰だと思っちょる!坂本りょ」

「さぁかぁもぉとぉりょおぉぉぉまだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」







……







……



しまった、本物に会えると思ってなかった



ってまてよ、そうだよね、新選組がいる時代なんだから坂本龍馬がいてもおかしくないよね、








夜の京の街で敵の名前を大声で叫んでしまった

はっとして日和は口に手を当ててあらやだごめんあそばせのポーズをした

って、ちがうって、坂本龍馬って、長州藩じゃなかったっけ




「さっきからおまんはなにをいっ」
「坂本龍馬、ここから逃げなよ」







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