愛してるなんて言わないで



恋を止める方法を知らないように

加速する恋心を止める術も分からない…。




いっそこの恋に溺れてしまいたいと願う一方で

私の経歴が彼を不幸にするかもしれないと思うと…


恐くなる。


それでもわがままな心は

彼を愛したいと叫んでいて

愛されたいと泣いている。




触れなければ…

保てていた理性が

彼の唇を知った途端に吹き飛んでしまう。



もしも願いが叶うなら

愛する人を幸せにしてあげられる力が私にあるのなら…


翔太さんと

颯太を間に挟んで

初めて会った日のように…


ううん…


今度は

嘘も偽りもない

家族になりたい…。



愛する人と結婚したいと思うことは


一般的には細やかな願いかもしれないけれど

バツイチの私にとっては

幼い頃に夢を見る

とんでもなくスケールの大きななりたい職業に就くことと同じくらい

高すぎるハードルかもしれない。



一度目の結婚は、愛し合ってる。それだけで

結婚ができたけど


二度目の結婚を想像することは


背負う傷が重すぎる。



愛する人を

傷つけてまで

この気持ちに素直に愛しても…

許されるのだろうか…?


玲二が二度目の結婚に踏み切れたのと

私が二度目の恋に踏み込めない理由には


大きな違いがある。




それは


世間から見た


バツがついてるのが男か…

女かの違いだろう…。








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