愛してるなんて言わないで
眉を下げて
まるで、翔太さんの傷を自分に映したように、しょんぼりとする颯太をベッドに招き入れる。
「喧嘩…してないよ?」
「でも…」
「颯太が心配することは何もないよ?」
「でも…」
「明日のおでかけは何をしたい?」
颯太の言葉を遮るように話題を切り替えようと努力しているのに…
「明日、おじちゃんも一緒におでかけがいいな。」と、探るような眼差しを向ける。
颯太にとって、社長はどんな存在なんだろう…。
お世話をしてくれる、保育士さんのようなつもりでいるのだろうか…?
それとも、遊び相手をしてくれる、自分の友達のような感覚なのだろうか…。
「颯太、よく聞いて?
おじちゃんはね、颯太の家族じゃないから颯太の好きに会えるような人じゃない。
家族って何か分かる?」
そう聞く私に
颯太は澄んだ目で答える。
「ママと僕と…パパ。」
パパの言葉に胸がチクリと痛む。
会っていなくても
気にもかけてくれなくても…
養育費としてしか思いだされないとしても…
颯太の中には
パパ。という立場の元旦那の形が…
残ってるんだ。…ね?