愛してるなんて言わないで


そうだね。って答えてあげられなかった。



答えたく無かったのかもしれなかった…。



パパに会いたい。なんて颯太が思ってるはずないけれど…。


私から「パパ」という言葉をだして…

言うはずのない、会いたいを言われてしまうのが恐い。


恐いから…

口が裂けてもパパ話題はふりたくない。


颯太が…

元旦那をどんな風に思っているのかを

知りたくない。



それでも

颯太のパパは

颯太が私のお腹にきてくれたその時から

元旦那がパパだというのは

変えられない事実なんだ…。



変えられないからこそ…

胸が痛む。

颯太の思い描く家族の形を

築けなかったこと。



最初の結婚には…

失敗ばかりしかないこと。


家庭が壊れる事で1番傷を負うのは

夫婦じゃない。

子供なんだ。


当たり前にそこにあるはずの家族を

大切なはずの親の手で壊してしまう。


家族を作るのも壊すのも

親なら…

守りきれない家族という形を

責任を持てないなら…作ってはいけない。



犠牲になるのは…

いつだって、何も知らない

権利のない

大切な自分達の子供なんだから…。


子供から何もかもを奪う権利は…

親にはない。


離婚して

それに気付いたのは

遅すぎたのかもしれないけれど…。



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