地味子さんの恋愛事情
「あのさ、大河」

「んー?」

「いつまでそうしている訳?」

「次の展開が出てくるまで」

私の胸にもたれかかるように顔を埋めている大河に、私は呆れることしかできなかった。

「今、スランプなんだから仕方がないじゃん」

「よく言うわよ、昨日まで部屋でひきこもりになって仕事で帰ってきた私にご飯を作らせたくせに」

呆れたと言うように息を吐いた私に、
「昨日は昨日、今日は今日。

昨日がそうだからって今日が同じとは限らないでしょ?」

大河は言い返した。

「後、兄貴にも負けたくないし」

…さすが、兄弟である。

いや、もはや“あいつにだけは負けたくない”と言う男ならではの心理なのか?
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