Snow Men
いわゆる、“修羅場”と言うシーンである。

「何で“別れる”だなんて言うんだよ!」

怒鳴っている男の目の前には女がいた。

「別にそのまんまの意味だし」

女は毒づくように答えた後、うんざりだとでも言うように息を吐いた。

あちゃー…。

僕は物陰に隠れて、心の中で呟いた。

近道をしようと思って校舎の裏を通ったのが、そもそも悪かった。

「何てこったパンナコッタ…」

彼らに聞こえないように呟くと、僕は腕時計に視線を向けた。

後10分で見たい歌番組が始まってしまう。

一応保険として録画の予約はしてあると言えばしてあるのだが…どうせなら、リアルタイムで見たかったな。

今日は僕が好きなバンドが出てくる回だって言うのに残念だな。
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