☆Friend&ship☆-妖精の探し人-
「わぁ、美味しそうです」
「セレンには劣るな」
へリオは顔をしかめながらそう返す。
此処は完全個室制の飲食店。
壁や天井はガラス張りで、星空が望めた。
機械的な星空は美しく、月は見えない。
この星で一二を争う人気店だが、どうやらセレンの料理よりは良くなかったらしい。
「セレンの料理を食い続けて何が悪いかって言うとさ、舌が肥えて外食ができなくなるんだよな…」
悩まし気にへリオが言うと、怒られたと思ったのかセレンは縮こまって項垂れた。
「怒ったんじゃないって。誉めたの」
「…ごめんなさい」
キングがいなかったのが幸いだ。
「セレにぃ料理上手ですか?」
「お前ステーキ食ったろ。奇跡の味だな、ほんと」
「マジでだぜアクアちゃん。コックの俺が言うんだから間違いない」
ウィングがそう微笑みつつ零した。
「お兄ちゃんも料理上手だったんですよ、ジュエル様も」
何かにつけて二人の自慢ばかりしたがるアクア。
「セレにぃより上手だったかはわかりませんけど…でもいっつも美味しかったんです。私…お兄ちゃんの作った料理なら何でも好きでした」
嬉しそうに微笑むアクアに、セレンは皮肉気に呟く。
「…吸血鬼がそんなに好きなのか」
「関係ないですよ、お兄ちゃんはお兄ちゃんだし。お兄ちゃんが鬼族でも吸血鬼でも私の中ではお兄ちゃんですから」
「…」
アクアはにっこり笑ってそう言った。
上手く野菜だけ別のお皿に盛っている。
「それに、逆にセレにぃが吸血鬼でも私全然なんとも思いませんし」
呟くようにそう言ったアクアは、なんでもないように取りよけたミートボールだけを食べている。
セレンは俯いて、微かに震えているようだった。
「…ざ…けるな」
「ん?セレン?」
へリオはセレンの頭に手を伸ばす。
その手が触れるか触れないかのうちに、セレンは跳ねるように頭を上げた。
「吸血鬼なんかと一緒にするな!!」
絶叫したセレンにあっけにとられているうちに、セレンは店を飛び出し夜の街をかけていった。