そのキスで教えてほしい
やれやれ。と、私は立ち上がった。
たぶん、大事なデータを間違えて削除してしまったんだろうな。

そんな軽い気持ちで彼のそばに寄ったけれど、削除してしまったのは作成中の業者への見積書と企画書だったらしい。

バックアップもないらしく、おいおい……と頭を抱えた。

「すみません……今日中と言われていて焦ってて……」

「……とりあえず、見積書は私がなんとかする。あなたは企画書仕上げて、急ごう」

「はい、すみません……!」

こういう事態が起こってしまった後に何を言っても仕方ないけれど。
しっかりしなさいよ! と、心の中で悪態をつきながら私は自分のデスクに戻る。

そして作業に取り掛かかった。

後輩の書類を作成し、他の社員の書類の手伝いをしてあげていたらいつのまにか終了時間を過ぎている。
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