旦那様は、イジワル御曹司~華麗なる政略結婚!~

それでもやっぱ颯と一緒にプレー出来ることは嬉しい。ゆーちゃんに颯を紹介できたのもよかったし、なんだかんだ最後は「楽しかったね」ってみんな笑顔で終わる。それってすごく幸せなことだ。

そんな風に、私と颯の関係は元通りどころか以前よりずっと近くなった気がする。

時々は小さな喧嘩やくだらない言い争いもするけれど、私たちは確実に日々仲を深め合っていると思う。一時はこの婚約は本当にもう駄目だと危ぶんだけれど、今はもう幸福な結婚生活の予感しかしない。

そしてこの幸福をきっと誰よりも願ってくれていたのが藤波だったんだと、改めて私はつくづく思った。

だから私はこれから先もずっと、颯と一緒に幸せにならなくちゃいけないんだ。藤波だけじゃない、私を大切に育ててくれたおじいや両親のためにも、大脱走をやらかしても呆れて見捨てず、私と向き合ってくれた颯のためにも、そして何より――自分のために。


そんなわけで結婚にも前向きになり、婚前同棲生活もようやく順風満帆な兆しを見せ始めてきた頃――。

「婚約披露パーティー?」

「ああ。コンツェルン上層部及び系列会社の役員、株主らが集まる。今度は……遼と兄貴も来る」

――私はついにこの政略結婚に秘められていた真実を知ることになるのだった。

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