旦那様は、イジワル御曹司~華麗なる政略結婚!~
エピローグ
【エピローグ】


青空が眩しい六月。

日本だけでなく世界さえ注目する経済界一のビッグカップルの結婚式が行われた。

日本国内シェア四位を誇る老舗自動車メーカー・アサギの令嬢こと私、浅葱真奈美と、金融、電鉄、不動産、投資、建設、製造、通信などなど日本のあらゆる事業を網羅している日本一の巨大企業・結城コンツェルンの次期総会長にして日本唯一の財閥御曹司、結城颯の結婚式である。

この結婚式を以てアサギが結城の傘下となることもあって、今日は朝からテレビもネットも新聞もこの話題一色だ。

だがしかし、そんなことはどうでもいい。

私にとって大切なのは株式相場ではなく、ついにウエディングドレスを着て颯と祭壇に立てることなのだ。

立場上、膨大な数のお客を招いた披露宴を何回もやらねばならないことは仕方ない。その代わり私は颯に頼み込みまくって、結婚式だけはこぢんまりと両家の家族だけでさせてもらう約束をした。

式場はパラオ。観光地やダイビングスポットから少し離れた孤島は結城の所有地で、一番見晴らしのいい丘に、結城の一族だけが使えるチャペルが建っている。

チャペルとはいっても、建物の豪奢さは半端ない。外装はイタリアのミラノ大聖堂さながらの荘厳なゴシック建築で、中に入ればドイツの聖シュテファン大聖堂を彷彿とさせる芸術的なステンドグラスに彩られている。

人混みを離れた孤島の青い空と透明な海に囲まれた、おごそかなチャペル。

ブルーのステンドグラスを通して差し込まれる光は室内を神秘的な空気で包み、夫婦の神聖な誓いを静かに見守ってくれているみたいだ。
 
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