旦那様は、イジワル御曹司~華麗なる政略結婚!~

こうして浅葱家が絶対に逆らえないやり方でまんまと私を監禁する許可を得た颯は、結城所有の都内のホテルの最上階を改造し私をそこへ閉じ込めることにした。

二百平米はあろう部屋は英国風のクラシカルインテリアで統一され、馬鹿みたいなサイズの天蓋付きベッドやら、年代モノのオークのドレッサーやら、ドレスのぎっしり詰まったクローゼットやらが取り揃えられている。

もちろんバスルーム、メイクルーム、ドレスルームに加え書斎まで完備されており、キッチンと私専用のフィットネスルームまで同階に用意されているところを見ると、颯のヤツは本気で私をここから出さないつもりらしい。

わざわざ颯直々の案内で部屋に連れて来られた私は、うんざりとした表情を隠そうともせず、乱暴にチェスターフィールドソファにドスンと腰掛けた。

「馬っ鹿みたい。わざわざこんな部屋まで用意して私を閉じ込めようだなんて。そもそも今さら何を勉強させようっていうの? 花嫁修業ならこちとらもう十五年以上やってて完璧なんですけど」

部屋には執事もおらず颯とふたりきりなのをいいことに、私は素のままの自分を隠さず言う。

すると颯はしかめっ面をしたまま向かいのソファに座り、とんでもないことを言い出した。

「お前が学ぶのは夫に対する従順さだ。今日からこの結城颯さまがわざわざ一緒に暮してやるから、お前は良妻の心得を式までの十ヶ月で習得しろ。分かったな」
 
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