【完】甘い香りに誘われて 5 極道×やんちゃな女たち
何も知らない私は呑気すぎた。
中庭へ移動していた菫たちを見つけ桐生さんを呼んだ。
「菫が帰ってきたときパトカー止まってた?」
「へい。まずいと思ってゲームのふりして菫ちゃんには目を瞑らせておきやした」
「ありがと~。ほんと助かります」
縄跳びをしている菫の姿を見て私の胸の内は複雑だった。
みなさんが来て下さる事が嬉しくて単純に喜んでいた。
だけど世の中はそうじゃない。
危機感を持つわけだ。
何かすると考えるのか何か起きてもおかしくないと思うのか
門の外は緊迫した空気だったんだろう。
由香里さんの元へ行きパトカーの事を聞いた。
「あぁいつもの事よ」
それは間違いなく今までもそうだったという事だ。
「結衣、そんな顔しなさんな。藤堂はこの住宅街で何か起こした事がないのは向うだってわかってんのよ。体裁っていうかまぁ儀式みたいなものよ」
「そういう時って何て言って帰ってもらうんですか」
「近所迷惑だから引き上げてくれ。若頭の嫁とその子どもに会いにきただけだから大げさな事しないでくれって」
その後で
「嘘じゃないでしょ?」
笑っている由香里さんにやられたと思った。
まぁそれで引き上げてくれるならいくらでも使ってくれと思ったけれどこっち側の人間になると警察の人に自分の事を語られるのは何となく後ろめたいというか秘密にしてよみたいな変な気分だ。
「隼の嫁になった時からもうあんたは警察に知られてる人間だから」
「悪い事出来ないね」
「極道しか出来ないよ」
そりゃずいぶんと悪いなんて大笑いする私たちは日本の極道のトップと言われる藤堂組の姐さんたちだ。