【完】甘い香りに誘われて 5 極道×やんちゃな女たち
正義とは何か


私の携帯が鳴り隼からの連絡だ。


「菫、パパだよ」



パパの声は菫にも安心を与えるようだ。


満面の笑みのまま会話を終えると私に携帯が渡され受話器を耳にあてると


「え?どこにある?待って」



物を探すふりをして由香里さんの部屋を出て自分たちの部屋へと向かった。



「結衣、心配するな」


「うん。でもわからないから不安なの」


「そうだと思った。だから電話した」



隼も今では私が極道で育った人間とは違う、いわば経験値の低さからの戸惑いや不安感を十分理解してくれている。


隼にしてみれば、わらかない事が何かわからなかったのだ。



言葉ひとつとってみても組織にしても聞きなれない言葉であり初めて聞く言葉も多い。



「ありがとう」



そして隼から聞かされた言葉は、抗争という言葉ではなく誘拐、拉致という背筋が寒くなる言葉だった。





< 20 / 181 >

この作品をシェア

pagetop