【完】甘い香りに誘われて 5 極道×やんちゃな女たち
縁(えにし)


「結衣さん、BRILLIAに行く日を相談したいんだけど大丈夫そう?」


明日実さんから電話が来た。


せかす結果になってもいけないと思いこちらからは様子を聞く事はしなかった。


それでも隼から、1人で出勤しはじめたと聞いた時は安心した。


「安心したわ」


「どこが安心なんだ」



明日実さんが今までもそうしてきたしそうしたいと頑なに言うからであってやはり他の人たちは、1人である事を不安に思っていると隼は言っていた。


心配してるくらいならついてた方がいいと言う気持ちなんだと思った。




「隼から様子は聞いてたから安心してたのよ」


「龍崎の若が結衣さんに私ぐらい警戒心があればって言うぐらい優秀なのよ。自然と歩く位置とか人との距離とかを考えてるのよね」


「基本が出来てるって事よね。大事な事かも」


ただ、帰りは明日実さんがどう言っても1人を許してもらえず仕事を辞めさせるだの言い出すとこまで発展。


そして仕方なく明日実さんが折れたらしい。


「店を辞めさせる事なんて朝飯前だもの。今言って即実行される」


「笑えないよね」


「笑えないわよ」


同僚と駅まで一緒に帰る事も出来ず仕事が終わると


「あんな事に巻き込まれたから親が心配して迎えに来てる」


「そうよね。安全なようで危険はあるって認識したわ」


「ごめんね。お先に」


不審がられる事もなくダッシュで店を出るとタイミングを合わせて車が到着して乗り込むという早業だそうだ。


車に乗り込むとどこからどう見ても極道風情の男が


「お帰りなさいやし」


この瞬間、あたりを見回してしまうというのだから知られたくない思いは強いのだろう。




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