【完】甘い香りに誘われて 5 極道×やんちゃな女たち
「龍崎の若が来てくれる時もあるの。そんな日は仕事終わりの緊張感がないわ」
申し訳ないとは思いつつも非常に有難いと言うから菫もいつの日か桐生さんのお迎えにそんな言葉を言う日が来るのだろうか。
私が三浦さんと一緒にどこへでも行く事や最近は自転車で一緒に買い物に出るというのが信じられない行動らしい。
どこからどう見ても三浦さんは立派な極道だ。
だけど自転車に乗っている三浦さんが私の場合は可愛らしくも思えるし一緒である事が楽しい。
「私の場合は自分が望んで極道へ来たからかも」
私は、藤堂組に誇りを持っているし出会った極道の方々も立派な方達だと思っている。
だがそれは、私という人間を軸にして考えた場合であって社会への1歩を歩き始めている菫を思うと知られてはいけないと思うのも事実だ。
だから明日実さんの気持ちも十分理解出来る。
明日実さんが極道が嫌いというのは、社会からの目を考えるからだろう。
個々の人たちを嫌っているわけじゃないと思った。
だけど「藤堂みたいに家族のように暮らしてるわけじゃないから単純に嫌よ。結衣さんみたいに暮す事を望むかといえば望まない」
こうなると私は黒の世界で幸運に恵まれたわけだ。
そして望んで来たものと運命によってそこに生まれた子の差なんだと思う。
幸運に恵まれたと言った私に明日実さんは大笑いしていたけれど間違いなくその言葉に尽きると思う。